Skeinforgeメモ
2009.12.09
ここでは、Cupcake CNCでプリントするGコードファイルを作成するためのツール、Skeinforgeのパラメタについて分かったことを書き記します。なお、勘違いや間違った記述もあるかも知れないので注意してください。
なお、お勧め設定はFilletをFalseにして、Clipを0.5にすることです。Speedは調整する必要がないようでした。この設定を行うことによって、狭い領域に発生するダマが無くなる効果があります。
以下にパラメタ変更前と変更後の場合のプリント結果を示します。右側がパラメタ変更後です。ダマが劇的に改善されていることが分かります。
インストールやアップデートについて
pythonのインストールが必須。python3系では動作しないので、Python2.5系や2.6系をインストールすること。
RapRep用のSkeinforgeもあるので間違えないこと。Cupcake CNC用は http://replicat.org/download にある。
Skeinforgeは時々アップデートされるが、その際、内部パラメタも見直される。
内部パラメタは C:/Documents and Settings/ユーザ名/.skeinforge に保存されるので、手作業でフォルダごと削除しなければならない。
Analyze(分析)
作成済みのG-Codeファイルを確認したいときに使用する。
層ごとの形状がグラフ表示され、コマンドプロンプトにはサイズ(mm)、所要時間(sec)、必要樹脂量(cc)が表示される。
Clip(クリップ)
・Clip Over Extrusion Width: 0.18[デフォルト値]
ノズルからの樹脂の押し出しを停止するときの、補正量を入力するらしい。
樹脂は太さがあり、普通に停止したのでは、その太さ分だけ長めになるので、樹脂の半径を指定する。
また、実際には樹脂の押し出しが停止するには時間がかかり、デフォルト値の0.18では足りないらしい。
あるユーザのTipsによると、0.5を指定すると良いそうだ。
※私が試したところでは0.5は効果あり
Cool(冷却)
・Active Cool: False[デフォルト値]
・Minimun Layer Time: 60.0[デフォルト値]
細長いものを縦方向にプリントすると、狭い範囲を塗りつぶすことになる。
すると硬化していない層に重ねてプリントすることになり、重力や摩擦で形状が歪んでしまう。
そこで層の所要時間が一定になるように一時休止するのが、このパラメタである。
※私の場合は機能をActiveにしたところ、うまく機能しなかったので本当に有効なのか疑わしい。そもそも60秒は長すぎる。
・Turn Fan on at ....
冷却ファンを制御する。
ファンの接続先は、ニクロム線ヒーターを接続した隣の C+ C- 端子で、12V規格のものを使用する。回転制御はない。
小さいオブジェクトをプリントするときには、冷却ファンが有効である。
逆に大きいオブジェクトをプリントするときは、全体に熱収縮が起こってオブジェクトが歪む。
熱収縮を防止するには、逆にドライヤーなどで温風を送ると良い場合もある。痛し痒し。
Fill(塗りつぶし)
・Infill Patten: Grid Rectangular[デフォルト値]
層の内部を塗りつぶすときのパターンを設定する。
デフォルト値では四角形のパターンで塗り潰されるが、蜂の巣状や、直線に変更できる。
オブジェクトに強度が必要な場合は、蜂の巣状を選択すると良い。
・Infill Solidity: 0.2[デフォルト値]
このパラメタではオブジェクトの内部を何パーセント塗りつぶすか設定する。デフォルトではオブジェクト内部は20%の樹脂で満たされる。
この値が大きいとプリントに時間がかかる。
オブジェクトに強度が必要な場合は、このパラメタを大きめにすると良い。
0.01を設定すると中空のオブジェクトになるので、それを好むユーザもいる。
・Solid Surface Tickness: 2[デフォルト値]
オブジェクトの内部はパターンで塗りつぶされるが、上下の層はパターンではなく完全に塗りつぶされる。
このパラメタでは、完全塗りつぶしする層の数を指定する。
オブジェクトに強度が必要な場合は、このパラメタを大きめにすると良い。
Hop
不明
Material(素材)
・ABS[デフォルト値]
使用する樹脂の素材を選択する。デフォルト値はABS樹脂である。
Makerbotで販売されているHDPE樹脂を使用したい場合は、このパラメタを変更する。
Oozebane
多分、プリンタの単位系とGコードの単位系を補正するパラメタ。通常は触らない。
Raft(いかだ)
土台(いかだ)とサポートマテリアルの設定を行う。
・Support Material Choice: No Support Material[デフォルト値]
・Support Material Angle: 60.0[デフォルト値]
樹脂は重力に逆らえないので、中空に対して押しだせない。
しかし、このパラメタを設定すると、オブジェクト外部にランナーを配置してくれるので、重力に逆らえる。
後からランナーを手作業で除去する必要がでるが、複雑なオブジェクトを作成したいときに有効である。
角度はランナーを配置するときの許容するバンク角となる。
Stretch(変形)
樹脂の押し出しパスを補正することで、穴などを形成したとき、サイズが小さすぎたり大きすぎたりしないよう調整するものらしい。通常は触らない。
Unpause(非停止)
マイクロプロセッサの遅れを埋め合わせるためにラインの速度を早める設定? 通常は触らない。
Carve(彫刻)
・Mesh Type: Correct Mesh[デフォルト値]
メッシュ形状が完全な閉領域の場合、デフォルト値では簡易計算にすることで処理を高速化する。
・・・みたいな意味だと思うんだけど、どうも違うみたいだ。
複数の3Dメッシュが組み合わさっている場合、デフォルトでは重なった部分が排他論理によって空き空間となる。
Unproven Meshの場合は、これを正確に計算するのではないかな?・・・と思うんだが、それは解決されず、やっぱり空き空間になる。
素直に3Dデータのほうをブーリアン演算で完全にしておいたほうが良い。
・Layer Tickness: 0.36[デフォルト値]
層の厚みで、Z軸方向の移動量となる。通常、このパラメタは変更しない。
Comb(くし)
不明
Export(出力)
出力するGコードの書式設定を行う項目らしい。
デフォルトではテキストモードでは、拡張子がgcodeになっている。通常は触らない。
Fillet(フィレ)
二つの辺が接するときの角の処理について定義する。
プリンタが移動するとき、急激な角度変化に付いて行けるように、角度変化にある程度の余裕を持たせるためのパラメタである。
あるユーザによると、この機能はFalseにしたほうが良いとの意見がある。
※私が試したところではFalseの効果は大きい。
Skeinforgeは塗りつぶしにジグザグのパターンを作るが、その折り返し部分には毎回Filletが適用される。
Filletが適用されると、パスの走行速度が低下する。この影響は、細い経路の中をジグザグ走行するときに悪影響として現れる。
速度が低下するということは相対的に樹脂の出が多くなり、細い経路の中に山盛りの樹脂が積層されダマとなってしまう。
ダマが発生するとノズルが引っ掛かって、オブジェクトがステージから剥がれたり、熱障壁のネジ山が壊れてノズルが抜る原因となる。
FilletをFalseにすると、狭い経路の中にダマが発生することがなくなる。しかも全体の積層時間が短縮される。
Inset(挿入)
・Infill Perimeter Overlap: 0.15[デフォルト値]
外周と、塗りつぶしとの、重なり度合いを指定する。
この値が小さいかマイナスなら、外周と塗りつぶしの間に隙間ができる。
大きいと隙間が小さくなるが、ダマになる可能性がある。
あるユーザによれば、ABS樹脂は0.2、PP樹脂は0.7が良いらしい。柔らかい樹脂は小さめ、固い樹脂は大きめということみたい。
Multiply(増殖)
同じものを複数並べてプリントするパラメタ。
縦横何個並べるか、中心をどの程度ずらすかといった設定を行う。
デフォルトは1個だけプリント。
Polyfile
ファイル出力時にディレクトリ付きで出力するか、ファイルのみで出力するか選択するパラメタらしい。
デフォルト値はファイルのみ。通常は触らない。
Speed(速度)
・Flowate PWM Setting(if PWM Setting is Chosen): 255.0[デフォルト値]
樹脂を送り出す速度を指定する。最大値は255まで。
デフォルト値では樹脂の押し出し速度が最大のため、樹脂が多すぎてダマになってしまう。
そのため、このパラメタで押し出し速度を調整する。
但し、このパラメタは土台(いかだ)にも影響を与えるため、土台が薄くなり、オブジェクトが剥がれやすくなる欠点がある。
よって、出力されたG-Codeファイル(テキスト形式)の中の、M108コマンドのパラメタを手作業で修正したほうが良い。
※ダマの原因はFilletを適用しているや、Clip量が少ないことのほうが大きい。Speedを調整する前に、FilletとClipを調整したほうが良い。
Tower(タワー)
どうやら、複数のタワー状のオブジェクトをプリントするときに、それぞれのタワーを行ったり来たりしてプリントすると時間がかかるので、タワーごとに別々にプリントすることで速度を上げるオプションらしい。
それぞれのタワーの干渉などを考慮していないので、ノズルが接触したりして破たんする可能性が大きいので、なるべく使わないようが良いようだ。また、Z軸方向よりX軸Y軸のほうが移動速度が速いので、高速化に寄与するかどうかも疑わしい。
Wipe(拭く)
ノズルをワイプポイントまで移動させて、ノズル先端をクリーニングするためのパラメタらしい。そんな機構はついてないので使用しない。