水星工房 - CupCake CNC 製作記

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更新日 2010-04-29 | 作成日 2008-03-29

Cupcake CNC 製作記


この項目では、届いたCupcake CNCを製作したときの、日記的なものを書き記しておきます。
何かのヒントになれば幸いです。

Cupcake CNC ボディ製作

2009.10.28

Hotproceedさんに注文していたCupcake CNCのキットが、ようやく届いたので製作を始めた。なんでも税関にしばらく止められてしまって遅れたとのこと。
あらかじめ工具を用意しろということだったので、DIYショップなどで六角レンチを指示の通り揃えていたが、キットには六角レンチが入っていてガッカリ。

同梱されたCD-ROMの中の日本語PDFを印刷して、キットの組み立て開始。
本体はベニヤ板製で、「予めベニアにニスやペンキで塗装すると良い」とあるが、一刻も早く完成させたいので塗装は省略。
このキットはべニア板をレーザー切断したものが大部分を占めていて、それらをポルトで止めてゆくことで完成する。
所要時間は3時間とのこと。

組み立て始めて、いきなり、どこにも記載のない「ベアリングブラケット」をmidle板に取り付けろとある。
写真とベニヤ板の形状を見比べた感じでは「bb」とレーザー刻印のある小さな木の板がそれだと判断して取り付け。

説明書は日本語テキストで、それなりに写真も使われているが、案外説明不足が多い。
写真のアングルが悪くて、詳細が見えなかったり、完成後の例を示してあるが元の部品を示してないのでどれか判らない。
なんとか写真と実物を見比べて、首をかしげながらも作成して行く。

一番分かりにくいのはZ軸シャフトの作成。文章で作り方を説明してあるけど、恐らくその通りにすると多分作れない。
図で説明してくれないかな。一発で分かるのにと思いつつ、とりあえずインターネット上の本家英語版マニュアルの写真とを見比べて、勘で作成する。

X軸用ステッピングモーターを指示に従って、M3-16mmボルトでねじ止め・・・と思いきや長すぎて奥まで入らない。
他のモーターの取り付けは10mmボルトで取りつけているので、テキストの誤植と判断して10mmボルトで取り付ける。

Z軸モーターを取り付けて、ベルト駆動用のプーリーを張る。
ベルトテンション調整用のプーリーの固定方法も文章ではサッパリだが、もう勘で取り付ける。
といったところでボディ部分は完成。所要時間は4時間だった。


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Cupcake CNC XYステージ製作

2009.10.20

YステージとXステージを製作。
テキストの説明不足は慣れたつもりだったが、Yステージの構造がテキストと異なっているのにはビックリ。
設計変更があったがテキストには反映されていないらしい。
テキストの通りに上面と左右面を組み立てると、中央のベルト固定部が中に入れることは不可能。
仕方ないので一度分解し、中央部を組み立ててから、そこに上面と左右面を組み入れるようにする。

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Xステージは概ねテキスト通りで問題無く製作できる。
ただし、その後小さな部品が2枚余る。
どうやらXステージをスライドさせるロッドの固定部品らしい。
そういえばロッドの取り付け方法は説明が無いが、まあ慣れたので勘でロッドを取り付ける。
余った部品はロッドを挟み込むようにして固定する部品なので、ボルトとナットで取り付ける。
これらをボディに組み込んでステージは完成。

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CupcakeCNC 電子回路取り付け

2009.10.20

マシンの心臓部、ヒーターバレルを製作。
Cupcake CNCはワイヤー状の樹脂をモーターでノズルに押し込み、ヒーターで加熱することで糸状の樹脂を積層する構造である。
まず最初に製作するのは、ワイヤーを送り込む機能だ。
テキストの通り、アクリル板を組み合わせた構造を作成してゆけば完成する。

難問だったのが、ヒーターバレルの製作だった。
これは真鍮バレルにニクロム線を巻き付けて製作するのだが、付属のニクロム線が短い。
「ニクロム線をテスターで6Ωになる長さにカットする」とあるが、付属のニクロム線が4Ωしかない。
さすがに途方に暮れたので、代理店さんにメールで質問すると、「カットせずにそのまま使えばOK」とのこと。
出荷時に適切なサイズで送られてくるようだ。
しかし、4Ωなのはテスターの精度の問題なのか、設計変更があったのか釈然としないものが残る。

またヒーターバレルの真鍮部品は、先細りの方向と、平たい方向があるがテキストには方向の記載がない。これも代理店さんに問い合わせたことによると、先細りの方向がノズルの方向で良いとの返答だった。

※後で気づいたが、もし方向を間違っていたらノズル内に樹脂があふれて、冷却したときに固着して二度と樹脂が出なくなるらしい。
また、バレルを熱障壁にねじ込むとき、堅くねじ込まないとノズルと熱障壁の隙間に樹脂が入り込んでトラブルとなる。この後、私は熱障壁を2度壊してしまう。その一つの原因がねじ込も不足によると思われるが、この時点では知る由もない。

組み立ててたら、制御ボードに接続して電源を入れ、PCにUSB接続して制御ソフトからヒーターに火を入れる。
・・・が温度センサーに反応がない。
テスターでヒーターの断線をチェックしたところ、ショートしている模様。
しかたなく、ヒーターバレルを作り直す。耐熱テープの巻きが甘かったらしい。

※後で気づいたが、耐熱テープの絶縁はしっかり巻かないと、熱でテープの粘着剤が緩んで、ちょっとした振動でショートの原因となる。プリント中にショートすると樹脂が固着しているのに送りこみモーターだけが作動して、熱障壁が壊れる原因となる。

再度組み直して、PCに接続すると問題無く温度が上昇して、設定の220℃前後をふらふらする。
続いて、ABS樹脂送りこみの指示をモーターに指令する。
・・・が何故か入って行かない。
目視するとモーターが逆転している模様。

テキストをチェックしたところ、モーターのケーブルの色が、説明文と写真とでは逆になっていた。
誤植と判断してケーブルを繋ぎ換えてもう一度実験。
今度はOK、じりじりとABS樹脂が送り込まれてゆく。
2分ほどすると、樹脂がヒーターバレルの先端に達っして、ノズル先端から、ニュルニュルと糸状の樹脂が流れ出す。
これで心臓部については完成なので、ボディに取りつける。

ワクワクしながら、PCに接続する。
積層する前に、各軸のモーターが正常に動作するか確認する。
X軸問題なし。
Y軸、なぜか逆方向に移動する。
Z軸、これも逆方向に移動して、ノズルがステージに突き刺さる。あわてて電源を強制OFF。

ボディ部分やXYステージをじっくり眺めて、
説明書の写真と比べてみる・・・。が間違ってる様子はない。
試しに積層指示を与えてみると、ステージにノズルが付き刺さり穴が開く。
途方に暮れて、メールで問い合わせする。

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Cupcake CNC テストショット

2009.10.21

Y軸とZ軸が反転している件についてメールで問い合わせ中だが、まだ返答がない。
手持ちぶたさなので、制御ソフトのメニュー構成などを見てみると、制御基盤の設定項目らしきものがあり、そこにinvert X,Y,Zの項目を発見。
これは!と思い、YとZをinvertしてみたが、とくに反応はなく、軸方向も変わらない。
と思いきや、色々やっているうちにY軸Z軸が反転した。
どうやら一度、制御基盤のリセットが掛からないとinvertが効かない模様。

それではさっそく、と、テストショットとしてジグソーパズルのような3Dモデルを出力してみることにした。
しかしこのモデルが最初にプリントするには適切でないことを、この時点では知る由もなかったのである。

3Dモデルデータをツールに食わせてGコードを作成する。
作成したGコードをCupcakce CNCでプリントする流れだ。

まず、ステージぎりぎりになるように手動でノズルの位置を調整する。
次にGコードを制御ソフトで読み込み、Build指示を出すと、ノズルが数cm上昇して余熱シーケンスに入る。
しばらくして温まると、ノズルから樹脂がニュルニュルと数秒間出力され、確認ダイアログが表示される。
ピンセットで樹脂を取り除き、ダイアログにYesと答えると積層が開始される。

まず、四角くイカダのようなパターンが作られる。
これは上に積層するためのベースのようなもの。
そのイカダが作られ・・・。るのは良いのだけど、どうもステージへの貼りつきが悪く、剥がれかけのようだ。

イカダが出来ると、その上にジグソーパズルの輪郭がなぞられて行く。
案外、うまくいっている・・・。と思った次の瞬間、イカダごとステージから剥がれてしまった。
どうやら最初のノズルの位置が適切でなく、イカダがステージに接着していないようだ。
思ったよりノズルをステージに接近させ、イカダがステージに張り付くようにしないといけないらしい。
そのまま放置したら、グチャグチャした物体がプリントされ、しかもヘッドが物体に引っ掛かり、ゴッゴッと音とともにモーターが空転する音が聞こえた。

これでは不味いと思ったので、もう少し簡単なもので再挑戦してみたが、結局、謎の物体を量産してしまっただけだった。
なぜ空転するのか、プリントのヒントはないのか、メールで代理店さんに質問を投げかける。
といったところで、ひとまず終了

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Cupcake CNC 調整

2009.10.22

メールに返答があり、空転の原因が判明した。
ステッピングモーターのトルク設定が弱く、脱調という現象が発生しているとのこと。
これはモーター基板にトルク調整のための半固定抵抗があるので、これを右に回せばトルクを増やせるとのこと。
但し、あまり回し過ぎると、モーターが過熱して焼き切れてしまうので、ほどぼとに。

メールの指示の通りにトルクを調整して再度プリントしたところ、問題なくオブジェクトのプリントに成功。
一時はどうなることかと思ったが、これならOKである。

以上、製作からプリントまでの所要日数4日、会社からの帰宅後の作業であることを考えると、なかなかのハイペースだ。
キットとしてテキストの説明不足などの不備が気になるが、代理店では日本オリジナルモデルを製作中とのことで、今後のバージョンでは改善されると思われる。
ヒーターバレルの半田付けなどに専門の技術が必要とされるが、その他はベニア板のネジ止めが主なので、思ったより作り易いキットだと思う。

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