Fill ツール

シェイプの塗りつぶし色

ベクターレイヤーに Fill ツールを使用することで、Draw ツールで描いた図形に対して、アウトラインや塗りつぶしを適用します。

Draw ツールで描かれたポイントや曲線は、単なるガイドラインにしか過ぎません。 それらの形状は、Anime Studioの最終出力には表示されません。 Fill ツールで塗りつぶしを適用する必要があります。 Draw ツールが描いたオブジェクトが"形状"を定義し、Fill ツールはその"外観"を定義します。 もちろん、両方のツールを自由に使い分けることができます。

塗りつぶし範囲を確定するために、最初に対象となるポイントをすべて選択しておく必要があります。 選択したポイントを通過する曲線が閉じている場合に、塗りつぶしが付加されます。 後に例を示しますので参照してください。 アウトラインは、塗りつぶしほど制約が少なく、ポイントの境界線が閉じている必要はありません。 選択されたポイントのどんなセットでも、ポイントを通過する曲線に対してアウトラインが付加されます。

作成された塗りつぶしとアウトラインの複数のセットは、それぞれを積み重ねることができます。 これは塗りつぶしとアウトラインが重なるとき、どちらが先に見えるか設定するものです。 塗りつぶしとアウトラインの重ね順は後から変更することができますが、最初から順序立てて塗りつぶしを行うことで、制作時間の節約をすることができるでしょう。

カラーピッカー


Select Shapeツールや Create Shape ツールを使ってシェイプがアクティブのとき、現在のレイヤーの別のシェイプから素早く色を取り出して適用することができます。 <alt> キーを押しながら、色を取り出したいシェイプをクリックしてください。 取り出された色が直ちにアクティブなシェイプに対して適用されます。

または他のシェイプに対して、色やスタイルを"転写"することもできます。 <alt> キーと <ctrl> キーを押しながら、対象となるシェイプをクリックすると、アクティブなシェイプの色やスタイルが転写されます。 これは同一レイヤーの複数のシェイプに、同じ色やスタイルを適用するときの一般的なやり方です。

Fill ツール

Fill ツールは次のように使用します。

シェイプの選択

このツールで既に塗りつぶしやアウトラインを適用したシェイプを選択します。 ツールを選択してからシェイプをクリックしてください。 シェイプを選択したあと、 <delete> キーまたは <backspace> キーでシェイプを削除したり、 スタイル ウィンドウ で設定を変更したり、重ね順のオーダーを変更したりできます。

重ね順のオーダーを変更したいときは、<ctrl> キーを押しながら下矢印キーを押すことで、重ね順が背面へ移動します。 <ctrl> キーを押しながら上矢印キーを押すことで、重ね順が前面へ移動します。

シェイプの作成

"シェイプの作成"ツールは選択したポイントに対して塗りつぶし色とアウトラインを適用したいときに使用します。 このツールは、"ポイントの選択"ツールと似た操作性なので、 Draw ツール の章で操作を確認してください。 ツールを使用して、シェイプを適用したいポイントを選択してください。 もしポイントを通過する曲線が閉じているなら、赤いチェック模様で閉領域が強調表示されます。 閉じていないなら、選択された曲線が赤色で強調表示されます。

シェイプを選択した後、スペースバーを押すことでシェイプが適用されます。 スタイルウィンドウ で好きな色や、ラインの幅、スタイルなどを設定できます。 ここで注意したいことは、最終的にスペースバーを押すまで、単にエッジが選択されているに過ぎないということです。実際にシェイプを適用するには、スペースバーを押す必要があります。

下図に"シェイプの作成"ツールを使用する様子を示します。 曲線の境界となるポイントがすべて選択されない場合、左の例のようにチェック模様が表示されません。 右の例のようなチェック模様は、この状態のときにスペースバーを押したとして、塗りつぶしが適用される範囲を示します。 左の例の場合は境界がすべて選択されていませんので、アウトラインのみが適用されます。

シェイプを作成するために曲線を選択する

次の図はスペースバーを押してシェイプを適用したときの例です。

シェイプの作成例

シェイプを適用するとき、アウトラインを除外して塗りつぶしだけを適用したい場合は、スタイルウィンドウの"アウトライン有効"のチェックを外すと良いでしょう。 同様に、塗りつぶしを除外してアウトラインを適用したい場合は、スタイルウィンドウの"塗りつぶし有効"のチェックを外してください。

Paint Bucket

"Paint Bucket"ツールは閉領域を塗りつぶしたいときに使用します。 塗りつぶし色やスタイルを設定してから、それを適用したい閉領域をクリックしてください。 このツールは閉領域に対してシェイプを適用するのに"シェイプの作成"ツールを使用するより素早く行えます。 Paint Bucketツールを使用する際、スクリーン上には閉領域が見える形で表示されている必要があります。 もし形状の一部がスクリーンの外にあるなら、それは閉領域と見なされません(ビューを変更して、スクリーン上に見えるようにしてください)。

paint bucketツールは塗りつぶしを行う前に、まずクリックされた箇所を一時的にチェック模様で埋めます。 このチェック模様が触れたエッジが最終的なシェイプの領域です。 もしマウスボタンをクリックしたままにすると、塗りつぶし範囲をプレビュー表示することができます。 下図にpaint bucketツールによる塗りつぶしの例を示します。 それぞれの例の左図はスタート時の形状で、赤い×印はpaint bucketツールでクリックした箇所です。

形状の基本的な塗りつぶし


形状の外をクリック (何もおきず、塗りつぶされません).


複雑な形状。幾つかの行き止まりの曲線がありますが、全体としては閉じています。


穴が空いた形状


穴のほうをクリックして塗りつぶし


閉じていない形状 (見た目では閉領域に見えなくても、塗りつぶされません)


これらのクリックは塗りつぶしになりません。これらのケースの場合、閉領域としての形状が破たんするため、塗りつぶすことができません。


スクリーンから閉領域がはみ出ているため塗りつぶしできません。paint bucketツールは閉領域がスクリーン上になくてはなりません。

シェイプの削除

このツールを選択してシェイプをクリックすると、プロジェクトからシェイプが削除されます。 Anime Studioでは、オブジェクトの 形状外観 は独立していることに注意してください。 このツールを使用して塗りつぶしを削除したとしても、形状を構成するポイントと曲線は変化しません。 もしポイントと曲線を削除したい場合は、Draw ツールを使用してください。

ライン幅

"ライン幅"ツールは、ポイントを通過するときのアウトラインの幅を調整します。 このツールを使用することにより、先端で先細りしたり、中間点で太くなったりといった、変化のあるアウトラインを作ることができます。 このツールを使うには、単純に幅を調整したいポイントをクリックしたまま、好むライン幅になるようにマウスを左右にドラッグするだけで良いです(ライン幅を変える前に、アウトラインのあるシェイプを事前に適用しておく必要があります。アウトラインのないポイントにツールを適用しても何もおこりません)。 このツールを適用する前に、"ポイントの選択"ツールで複数のポイントを選択しておくと、同時に選択ポイントのライン幅を設定することができます。

エッジを隠す

場合によって、アウトラインの一部を塗りつぶしだけに変えたいときがあります。 "エッジを隠す"ツールはこんなときに便利なツールです。 シェイプを作成した後に、エッジを消去したい曲線をクリックすると、その曲線のアウトラインのみが消去されます。 下図にエッジを隠す例を示します。

エッジを隠すツールの動作

重ね順

以下のツールは選択したシェイプに対して作用します。ツールをクリックしただけで重ね順が変更されます。

ひとつ背面へ

ツールをクリックすると、重ね順のオーダーを背面に一つ移動します。 シェイプの重ね順が前面あるものは表示されて、それより重ね順が背面にあるものは、前面にあるものに隠れて見えなくなります。 よって、シェイプの見た目が重なり合っていない場合は、重ね順を変更しても何も変化していないように見えるかもしれません。

ひとつ前面へ

ツールをクリックすると、重ね順のオーダーを前面に一つ移動します。

【メモ】上と下の矢印キーは、重ね順の変更のためのショーカットとして機能します。 シェイプを選択して、これらのキーを押すだけで重ね順が変更されます。 また、矢印キーを使用するとき、<shift> キーを併用することで、シェイプを最前面や最背面に移動することができます。

複雑なシェイプの塗りつぶし

塗りつぶしを行うとき、Anime Studioは行き止まりの曲線上のポイントなどの、塗りつぶしの対象でないポイントを無視するような動作を行います。 しかしながら、形状によってはAnime Studioがうまく塗りつぶしを行えず、若干の手助けを必要とする場合があります。 下図のような図形を例にとって説明します。

二つの閉領域で構成された、複雑な図形

このような図形を塗りつぶす際、まずは全体のポイントを選択するのがセオリーだと思います。 しかし残念ながら、Anime Studioはこのような図形の場合は閉領域として認識できず、ただアウトラインがアクティブになるだけでしよう。

塗りつぶしシェイプとして認識できなかった。

この理由は、塗りつぶしが境界線に沿ったポイントだけで定義されるということです。 この場合、ユーザーがどのような境界線を意図したか、Anime Studioにとっては明白ではありません。 たいていの場合、Anime Studioは適切な形状を認識できますが、このようなケースではユーザーのほうが適切な形状を選択することで、Anime Studioに塗りつぶし範囲を提示する必要があります。 次の例では内部のポイントを選択しないようにして、外周のポイントのみを選択することでシェイプとして正しく認識されました。

塗りつぶし可能なシェイプ

また、以下のような例の場合でも、領域を塗りつぶすことができます。

代わりのシェイプ 1


代わりのシェイプ 2

塗りつぶしがうまく行かない場合は、選択したポイントが境界線を構成しているかどうか確認することを、思い出してください。

塗りつぶし合成

塗りつぶしがどのように定義されているか思い出してください。 それは境界線に沿ったポイントのセットによって定義されます。 思い出したところで、塗りつぶしの穴について解説しましょう。 シェイプの中に複数の穴を開けるために、外形の境界線と同様、穴の境界線も選択します。 下図は、"シェイプの作成"ツールで選択されたプレビューです。 もし、長方形の外形のポイントのみを選択したなら、それは長方形の塗りつぶしになったでしょう。 この場合は、内部の曲線も選択したことで、シェイプに穴を生じることができました。 これは境界線の明確化の問題です。

塗りつぶしの合成

次の例は、少し変更を加えたもので、穴の内部に小さい円が付け加えられています。 このときの規則も同じです。 さきほどのシェイプにもう一つの境界線を付け加えたにすぎません。

別の塗りつぶし合成

このようなシェイプを作る場合の制限はありません。 もっと多くの境界線を追加して、複雑なシェイプを作成することができます。

【トリック】二つの塗りつぶしを一つに見せかける

時々、より複雑な方法で、重なり合ったオブジェクトを表現したいときがあります。 下図のようなイメージを考えてください。

組み合わさったノング

重ね順がどうなっているか、あなたには理解できますか? えーと、答えはそれほど単純ではありません。 二つの図形を単純な重ね合わせでは表現することができません(もし3Dソフトなら、様々な解答が考えられます)。 実際には赤リングは二つに分割されていて、青リングの前と後の二つ存在します。 下図は、もう少し分かりやすくするために、赤リングを色分けして表示しました。

それぞれの色は独立したオブジェクトを示しています。

オブジェクトを二つに分ける時、それには余分の作業が発生しますが、この場合は結果を達成する唯一の方法です。 下図は、Anime Studioでのプロジェクトを示したものです。 この例では、ポイントと曲線がどのように構成されているか確認することができます。 右側のリングが二つのシェイプに分割され、重ね順オーダーがどのように設定されているか注目してください。

ポイントと曲線の構成

このテクニックは、オブジェクトが背後に曲がって、自分自身に重なって隠れるような場合のアニメーションに有効です。 普通のやり方では、そのようなアニメーションでは、シェイプが異常に変形するか、あるいは穴を生じて破たんします。 しかしながら、オブジェクトを二つに分割して適切に重ね順を設定することで、破たんすることなしにこの種の効果を生み出すことができるはずです。