Tutorial 3.4

キャラクターの構築

はじめに

このチュートリアルはボーンによって複雑なキャラクターを構築する手順を学ぶものです。それには、キャラクターを一度分解してからボーンを仕込み、また元のキャラクターに戻すというテクニックを用います。

サンプルファイルの読み込み

このチュートリアルを始める前に、アートワークを含んだプロジェクトを読み込んでください。それは"Tutorials/3 - Bones"フォルダに"Tutorial 3.4"と名づけられて保存されています。プロジェクトを開くと、以下のように表示されます。

このチュートリアルの出発点

Layerウィンドウには6個のベクターレイヤーがあり、キャラクターの個々のパーツ毎に分類されています。キャラクターを一つのアートワークで描くより、こうやってパーツ分けすることは、ボーンを仕込む作業をより簡単にします。

レイヤーの構造

キャラクターのパーツ分離

Translate Points

ボーンを仕込みやすくするため、キャラクターのパーツを分割しましょう。EditメニューのSelect Allコマンドを使って、キャラクター右腕(あなたから見て右で、実際には左腕です)のポイントを全選択してください。Translate Points ツールを使って、右上の離れた位置にドラッグしてください。

腕を移動

続いて、Headレイヤーを選択して、同様に上の方へポイントを移動してください。さらに下図のように、Torsoレイヤーを除いた全てのレイヤーのポイントを移動します。

分割したパーツ

ここでキャラクターを分割した理由は、ボーンを個々のパーツに入れやすくするためです。こうやって分割することで、個々のボーンを独立して動かすことができます。分割したキャラクターはチュートリアルの最後に、また元の形に戻しますので安心してください。

ボーンの追加

次のステップではボーンを追加します。プロジェクトに新しくボーンレイヤーを追加して、全てのレイヤーをその中にドラッグしてください。このとき、レイヤーの順序が変わらないように気をつけてください。

ボーンレイヤーの追加

Add Bone

Add Bone ツールを使用して、胴体に二本のボーンを追加してください。


追加された二本のボーン

に肩から始まる二本のボーンを個々の腕に追加してください。このとき、上腕のボーンは、胴体の上のボーンを親としている必要があります。また、腰から始まる三本のボーンを個々の足に追加してください。このボーンは、腰のボーンを親としている必要があります。同様にして頭のボーンを追加してください。(これは胴体の上のボーンを親とします)

すべてのボーンを追加

Reparent Bone

それではボーンの親子関係が正しいか確認しましょう。Reparent Bone ツールを使用すると、ボーンの親子関係が矢印で表示され、ボーンが正しく接続されているか確認することが出来ます。


ボーンの親子関係の確認

Manipulate Bones

この時点で、ボーンシステムが正しく機能するか、Manipulate Bones ツールを使って見ましょう。大部分のボーンは問題なく動作しますが、いくつかのボーンは調整が必要なことがわかります。次のステップではボーンの影響範囲を調整します。


影響範囲の調整

Layersウインドウのボーンレイヤーをダブルクリックして、レイヤー設定ダイアログを表示してください。Boneタブを選択して、"Region binding"を選択します。

Region bindingに切り替え

Region bindingを使用すると、ボーンの影響範囲にあるポイントだけが変形するようになります。ポイントが複数の影響範囲に含まれるなら、そのポイントは同時に影響を受けます。また、どの影響範囲にも属していないポイントは、一番近い影響範囲に作用されます。

これはFlexi-bindingと異なった動きをします。Flexi-bindingでは、全ての影響範囲は全てのポイントに影響し、影響範囲からの距離に応じて、掛かる影響力が変化します。よって全体の動きは、ちょうどゴムのように動くことになります。

Bone Strength

さて、影響範囲を調整しましょう。Bone Strength ツールを選択して、影響範囲のサイズを確認してください。


最初の影響範囲

Bone Strengthツールを選択したまま、個々のボーンを左右にドラッグすると、影響範囲のサイズが変化します。手足の影響範囲が少し大きすぎますので、ポイントがちょうど納まるように影響範囲を調整してください。とくに関節の部分に注意してください。この箇所でポイントを綺麗に折り曲げることが出来るようにするには、二つの影響範囲があまり重複しないほうが望ましいのです。また、影響範囲に含まれないポイントは、近いボーンに影響されますので、必ずしもポイントを全て覆う必要はありません。(最初にキャラクターを分割したのはこのためです)

調整後の影響範囲

Manipulate Bones

再度、Manipulate Bones ツールを使ってボーンの動きを試験してください。さきほどとの違いに気づきましたか? とくに腕を動かしても、他のアートワークに影響せず腕だけが動くはずです。


キャラクターを元に戻す

Offset Bone

最後のステップで分割したキャラクターを再び組み立てましょう。Offset Bone ツールを使って、個々のボーンの最上位のものをクリック&ドラッグしてください。上腕のボーン、足のボーン、頭部のボーンを移動して、下図のように元のキャラクターの形に戻してください。

フレームゼロはアートワークのためのフレームです。0フレーム目にいると(Offset BoneまたはManipulate Bonesツールを使用しない限り)キャラクターはバラバラになります。しかし、アニメーション設定のため、別のフレームを設定すると、Offset Boneツールを使ったように、組み上げたキャラクターを見ることが出来ます。

再度組み上げたキャラクター

Manipulate Bones

Manipulate Bones ツールでもう一度、キャラクターを動かして見てください。ボーンが重なっていても個々の部位は独立して動かすことができます。これはキャラクターを分割して、個々の影響範囲が重ならないように設定したからです。これでキャラクターを自由に動かすことが可能になりました。

最終的なキャラクター

もし、あなたが完成したプロジェクトだけを確認したいのなら、"Tutorials/3 - Bones"フォルダの"Tutorial 3.4 Final"と名づけられたプロジェクトを確認してください。